簿記3級の練習問題で商品有高帳を移動平均法で埋めていくと、3回目の仕入のあたりで残高の金額が解答と数十円ずれる、ということがよく起きます。原因はたいてい、途中で出した平均単価の端数を四捨五入したか切り捨てたか、あるいは丸めた単価に数量を掛けたのか丸める前の金額から引いたのか、という手順の違いです。どこで違えたかを探すには、受入のたびに単価を出し直して払出と残高を最初から追い直すしかなく、行数が多いと同じ計算を何度も繰り返すことになります。このツールは、受入と払出の行を貼ると、仕入のたびに平均単価を出し直しながら、払出単価・払出金額・残高の数量と単価と金額を行ごとに一覧にします。端数処理は結果欄の下で切り替えられるので、解答や会計ソフトの数字に合う手順をその場で確かめられます。
使い方
入力欄に、日付と摘要のあとに数量と単価を書いた行を、帳簿の順に1行ずつ並べます。受入(前月繰越・仕入)は「4/5 仕入 200 @230」のように数量と単価の両方を、払出(売上)は「4/10 売上 150」のように数量だけを書きます。単価は「@」を付けても付けなくても構いませんが、付けておくと数量と単価の順番が逆でも正しく読みます。売上の行に「4/10 売上 150 @300」のように売価を添えると、売上高と売上総利益も合計欄に出ます。日付は省略でき、3桁区切りのカンマや「個」「円」の単位が付いていてもそのまま読みます。貼り付けた帳簿はこのページの中だけで計算に使い、外へは送られません。
「有高帳を計算する」を押すと、1行目に行数と受入・払出の件数、続けて受入合計・売上原価(払出合計)・最終残高が出ます。売価を書いた行があれば売上高から売上原価を引いた売上総利益が続き、そのあとに計算に使った端数処理の要約が入ります。区切り線の下が帳簿の本体で、「4/5 仕入」の下に「受入 200×230 = 46,000」「残高 300×220 = 66,000」と、その行の受入または払出と、直後の残高が並びます。払出の行では、直前の残高の平均単価がそのまま払出単価になります。
「平均単価の端数処理」は、割り切れない単価の扱いを問題文や社内の決まりに合わせるための選択肢です。円未満の四捨五入・切り捨て・切り上げに加えて、小数1桁や2桁まで残す指定、まったく丸めない指定が選べます。変えると結果が出ている限り押し直さずに計算し直すので、解答と合わない行を見ながら一つずつ試せます。
仕組み
移動平均法では、受入があるたびに「残高金額と受入金額の合計」を「残高数量と受入数量の合計」で割って新しい平均単価を出し、次の受入までの払出はすべてその単価で払い出します。前月繰越が100個@200円、仕入が200個@230円なら、(20,000+46,000)÷(100+200)=220円が新しい単価で、その後の150個の売上は220円×150個=33,000円の払出になります。残高は数量300−150=150個、金額66,000−33,000=33,000円で、単価は220円のままです。仕入がもう一度あれば、この残高金額に仕入金額を足して単価を出し直します。
割り切れない単価が出たとき、このツールは選んだ端数処理で単価を確定し、その単価に数量を掛けて円未満を四捨五入した金額を払出金額にします。残高金額は直前の残高金額から払出金額を引いた値で、確定した単価×残高数量とは一致しないことがあります。これは帳簿の残高欄が「金額を数量で割った単価」を書くための欄で、金額そのものは受払の差で決まるためです。残高を使い切る払出では、丸めで残った端数ごと払い出して残高金額を0にします。
仕入戻しは、仕入れたときの単価で払出欄に書き、残高金額を減らしたうえで単価を出し直します。行に単価を書かなければ直前の仕入の単価を使います。売上戻りは、売り上げたときの原価単価で受入欄に戻し、その分を売上原価から差し引きます。行の2つ目の数字はこの原価単価として読み(売価ではありません)、書かなければ直前の払出単価を使うので、2回前の売上の分が戻るときは単価を添えてください。売上戻りの売価は売上高から差し引かないので、売上総利益は売上帳の側で調整してください。摘要が「返品」だけで仕入と売上のどちらか分からない行は計算しません。「次月繰越」「月末棚卸」のような行は、最初の行なら前月からの残高として受け入れ、途中や末尾にあれば計算に含めず、そのときの残高と一致するかだけを表示します。
よくある質問
Q. 総平均法や先入先出法には対応していますか。 対応していません。このツールは受入のたびに単価を出し直す移動平均法だけを扱います。先入先出法は払出単価の決め方がまったく違い、総平均法は月末にまとめて1つの単価を出すので、別の計算になります。
Q. 売価を書いていない売上の行があると、売上総利益はどうなりますか。 売価のある行だけを足して売上高を出し、売価の無い行の件数を合計欄に添えます。売上原価はすべての払出の合計なので、売価を書き漏らした行があると売上総利益は小さく出ます。
Q. 払出の数量が残高より多いと言われました。 その行は計算せずに飛ばし、残高をそのまま次の行へ引き継ぎます。入力順が帳簿の日付順になっているか、前月繰越の行が抜けていないかを確かめてください。残高がマイナスになる状態は移動平均法では扱えません。
Q. 会計ソフトの単価と小数第2位で違います。 ソフトによって単価を小数何桁まで保持するかが違います。「小数2桁で四捨五入」や「丸めない」に切り替えて、ソフトの設定に近いものを選んでください。それでも合わないときは、ソフト側が金額を先に丸めているか、返品の単価の扱いが異なる可能性があります。
Q. 材料元帳や製品有高帳にも使えますか。 受入と払出を平均単価で追う帳簿なら同じ計算です。摘要に「消費」「出庫」と書いても払出として読みます。